主催:応用物理学会/日本光学会/微小光学研究グループ
協賛:社団法人 レーザー学会

第106回微小光学研究会

「超高速光通信と微小光学」

開催趣旨: 光通信は微小光学の主要な応用分野ですので,これまでの微小光学研究会においても 何度も取り上げてきました.それには,理由があります.それは,この分野の社会的要請から数年 毎に新技術の導入を必要とし,それぞれの局面で必要な技術革新を達成しながら発展してきたため です.この関連の微小光学研究会は,古くは光ファイバ増幅器を取り上げて盛会だった第35回(1990年) に始まり,インターコネクト関連も含めて平均して2年に1回のペースでテーマに取り上げて,光通信とは 明確に位置付けませんでしたが最近では第101回研究会で分散の理論を基本に戻って深く理解するための 研究会を開催しました.

 光ファイバネットワークのトラフィック増加率は,さまざまな国際会議やシンポジウムでWebからの データを引用して語られてきたように,年率2倍もの急激な増加率で,数年で1桁の伝送容量増加を必 要としています.さらに,秒単位から分,時間単位までさまざまな時間間隔で見ても最大値と最小値の 差が激しいバースト性の高いトラフィックデータになっていることが特徴です.このような著しいデータ 伝送容量の伸びに対応するために,多波長を利用し,パルス間隔を縮めて高速伝送を実現することによっ て,従来は光ファイバの伝送容量を極限まで引き出す手法が用いられてきました.しかしながら,パルス の時間スロットを短くすれば周波数軸上では信号のスペクトルが広がるので,波長間隔を広げざるを得ず, 波長多重のチャネル数が減ります.そして,結局は符号効率がナイキスト限界の1 bit/s/Hzに突き当たり ます.また,光ファイバの低損失波長帯や光ファイバ増幅器の帯域には制限がありますので,伝送容量を 増やすには符号効率を上げざるを得ません.

 この限界を打破する技術として,無線通信と同様に,光の振幅と位相の両方に多値変調を加えて符号効率 を上げるさまざまな変調技術が以前から研究され,最近では符号効率はシャノンの限界に近づいて10 bit/s/Hz まで達しています.また,高いバースト性に対応するための高速光パケットスイッチング技術も開発されつつ あります.今回の研究会では,この超高速(あるいは超高効率)光通信を可能にするさまざまな技術を特集 しました.これらの技術は現時点では究極の光通信技術に見えますが,数年後にはさらに次の技術革新が必要 とされているかも知れません.この光通信分野は常に最新技術の原理を理解し,その限界を見極めて次を考え るサイクルを必要としますので,この研究会が,参加者の皆様にとって現時点での最新技術を深く理解して 動向を理解する一助になれば幸いです.

last update November 7, 2007

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