主催:応用物理学会/日本光学会/微小光学研究グループ
第127回微小光学研究会
「空間情報と微小光学」
日時 : 2013年3月7日(木) 10:00〜17:00
場所 : 東海大学 高輪キャンパス 4号館 4201講義室
(〒108-8619東京都港区高輪2-3-23)
会場付近地図
1. 高速ビジュアルフィードバックの世界 |
石川正俊(東大) |
高速COMSイメージャの感度・速度の向上に伴い、高速画像処理並びにその応用展開が期待されている.ここでは、高速画像処理の処理アーキテクチャ、高速ビジュアルフィードバックシステムの設計指針を述べるとともに、そのシステム構成に必要な新しい能動光学系を示す.さらに、応用開発が進められている分野の例として、ジェスチャー認識、マルチターゲットトラッキング、高速3次元形状計測、マイクロビジュアルフィードバック、高速知能ロボット等を実例とともに示し、新しい高速画像処理・高速ビジュアルフィードバックの世界を概説する. |
2. 光増幅器による車載用レーザレーダの小型化 |
井上大介,市川正,松原弘幸,各務学(豊田中研) |
一般的にレーザレーダの受光開口を小さくすると感度が下がるため、装置の小型化と高感度化は相いれない設計事項である。我々は光増幅器を用いて受信光を増幅する「光のプリアンプ《によってレーザレーダを高感度化する技術を開発した。直径2oの受光レンズを用いた指先ほどの小型なセンサヘッドでありながら80m以上先のターゲットを検出できる. |
3. 長距離・リアルタイム撮像用3Dイメージングレーザーセンサー |
今城勝治,小竹論季,辻秀伸,平井暁人,亀山俊平(三菱電機) |
我々は、Time of Flight (TOF)法により対象物の多点測距を行う3D イメージングレーザーセンサーの開発を行っている。本3D レーザーセンサーでは、ファンビーム形状でレーザー光を照射しその反射光をアレイ受信機で受光することにより、画素数256×256、フレームレート30Hz での撮像、距離1km での撮像に成功した。ここでは、本センサーの構成と開発した要素デバイス、撮像結果例を紹介する。 |
4. ライトフィールドカメラLytroの動作原理とアルゴリズム |
蚊野浩(京都産業大) |
Lytroは写真画像を撮影した後に、その写真の焦点位置を自在に変えることができるカメラとして知られている.Lytroはライトフィールドカメラと呼ばれる.その画像センサーとマイクロレンズアレイで構成される撮像部が,カメラに入射する光線集合であるライトフィールドを取得する.ライトフィールドから最終画像を生成する処理は,光線集合に対するレンズの働きを計算することに相当する.本稿では,Lytroの動作原理と画像を生成するアルゴリズムを解説する. |
5. これまでにないアプリケーションを実現するコンピュテーショナルカメラ |
小笠原隆行(東芝) |
近年、2次元の画像情報に奥行きなどの負荷情報を加えた光学ハードウェア技術と高度な画像処理技術を組み合わせたコンピュテーショナル カメラの開発が進められており,3D(3次元)カメラやリフォーカスカメラ,ジェスチャー認識など様々なアプリケーションが実現できる.東芝はこの技術の応用製品として,複数のカメラモジュールと当社独自の信号処理技術を組合せて,撮影後にユーザーが任意の被写体にピントを合わせることができるリフォーカスカメラの技術開発を行っている.このリフォーカスカメラは,画像認識アルゴリズムを組合せて3Dの画像検出や顔認識など,監視カメラやセキュリティ機器の分野への応用が期待されている. |
6. 偏光による形状推定および色の解析 |
宮崎大輔(広島市立大) |
物理学の知識を活用して画像解析を行う研究分野は物理ベースビジョンと呼ばれている.本講演では,偏光や光の反射,スペクトル分布の知識を応用した物理ベースビジョンの研究について紹介する.1つ目の話題として,複数視点から対象物体の偏光状態を観測することで物体の三次元形状を取得する手法を紹介する.2つ目の話題として,単視点から透明物体の偏光状態を観測し,偏光レイトレーシングによる解析を用いて透明物体の三次元形状を取得する手法を紹介する.3つ目の話題として,複数視点から対象物体を観測し,観測された物体表面の反射と同じ反射をする画像を計算する手法を紹介する.最後に4つ目の話題として,メタメリズムを生起させる塗料の調合割合を自動的に計算する手法を紹介する. |
7. 微小偏光素子アレイを用いた高速度3次元動画像計測システム |
粟辻安浩,角江崇,田原樹,夏鵬,西尾謙三,裏升吾(京都工繊大),久保田敏弘(久保田ホログラム工房),的場修(神戸大) |
ホログラフィにおいて記録に撮像素子を,再生にコンピュータを用いて物体の3次元像を数値的に再生するディジタルホログラフィについて説明する.ディジタルホログラフィにおいて再生像に非回折光,共役像が発生するという問題とその解決方法である位相シフトホログラフィについて説明する.さらに,動く物体に対応できる位相シフトディジタルホログラフィとして並列位相シフトディジタルホログラフィについて説明し,高速度カメラと微小偏光素子アレイを用いて構成する並列位相シフトディジタルホログラフィシステムとその高速度3 次元動画像記録・再生結果について紹介する. |
8. CMOS光飛行時間距離画像センサの高分解能化 |
川人祥二,安富啓太,香川景一郎(静岡大) |
光飛行時間を用いたCMOS距離画像センサの高分解能化について議論する。背景光下での距離分解能は、背景光のショットノイズの影響を受ける。その影響を軽減するためには、でユーティ比の小さいパルス光を用い、計測時間窓以外の期間で発生する背景光信号を排除する構造が有効である。また、CMOS距離画像センサを微小空間の中で使用し、1ミリメータ未満の距離分解能の実現のためには、ロックインピクセル内での光パルスに対する応答速度を如何に高められるかが重要である。本稿では、環境光下での距離分解能を高める短パルス化技術および、DOM(Draining Only Modulation)及びLEFM(Lateral Electric Field Modulation)と呼ぶ高速応答ロックインピクセル技術を紹介する。 |
9. ランダムドットパターン投影法によるデプスカメラの動作原理 |
上田智章(Neo-Tech-Lab) |
ランダムドットパターンを被写体に照射投影を行いながら、水平方向にずれた位置でカメラ撮影した画像データを基に、被写体までの距離を画素単位に測定するデプスカメラを実装したKinectセンサーに関する応用研究が様々な分野で活発に行われている。本講演では、デプスカメラの基本動作原理と高速化アルゴリズムについて説明を行い、非接触生体情報モニタリングへの応用について紹介する。 |
10. 波面コード化による被写界深度の拡大 |
小松進一(早稲田大) |
波面コード化法は独創的で有効な被写界深度拡大技術である.位相板や非球面により結像光学系の瞳位相を変化させて焦点はずれに依存しない劣化中間像を作り,それをディジタル画像復元してシャープな最終像を得る.本講演では,焦点はずれによる瞳関数の変化に基づいて波面コード化の原理を説明し,最近の研究開発動向を紹介する. |
last update January 10, 2013 |